アトピー性皮膚炎の『内服JAK阻害薬』について

内服JAK阻害薬は、アトピー性皮膚炎の炎症や痒みに関わりのあるヤヌスキナーゼ（JAK）をブロックすることによって、皮膚症状や痒みなどを短期間で改善させる内服薬です。

ウパダシチニブ（リンヴォック） リンヴォック.jpへのリンク


リンヴォックは、ステロイド外用薬による治療でなかなか症状が治まらない12歳以上の中等度～重度のアトピー性皮膚炎患者さんに処方される飲み薬です。
通常は15mg錠を１日１回１錠、毎日服用しますが、患者さんの状態によっては、倍量の30mgが処方される場合もあります。
服用時間に制限はありません。




リンヴォックの治療を始める前に、副作用などをあらかじめ防ぐため以下のような項目を確認します。

過去にリンヴォックに含まれる成分でアレルギー反応を経験したことがないか
感染症にかかっていないか
結核にかかっていないか
B型肝炎ウイルスに感染していないか
静脈血栓塞栓症（じょうみゃくけっせんそくせんしょう）のリスクがないか
腸管憩室（ちょうかんけいしつ）の有無
間質性肺炎（かんしつせいはいえん）の経験
血液検査（好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値）で異常がないか
肝臓や腎臓の障害がないか
悪性腫瘍の経験
妊婦または妊娠している可能性
授乳の有無
予防接種の予定
など

服用前に必要な検査
リンヴォックによる副作用の発現を予防するため、服用前に問診・診察に加え下記の検査を行う必要があります。

血液検査
リンヴォックの服用がB型肝炎ウイルスの再活性化や結核の発症を引き起こすことがあります。
そのため、採血をしてB型肝炎ウイルスや結核に感染していないかを調べます。

画像検査
結核を発症しているかどうかを胸部レントゲンやCTによって調べます。

他のお薬を併用するときは
リンヴォックには、一緒に服用することで効果が強くなったり、弱くなったりするお薬や健康食品があります。
他の病院で出されたお薬や市販のお薬などを服用する場合は、リンヴォック®を服用中であることを必ず医師または薬剤師にお伝えください。

他の医療機関を受診するときは
リンヴォックを服用していることを医師または薬剤師にお伝えください。

妊娠・授乳
妊娠中または妊娠の可能性のある場合は服用できません。
リンヴォックの最終服用後1ヵ月程度は、適切な避妊を実施してください。
妊娠を希望される場合または妊娠された場合は、速やかに医師にお伝えください。
リンヴォックの服用中は授乳しないことを推奨します。

効果の強い薬ですが、高価で副作用もある薬ですので、皮膚科学会では常勤の専門医がいる施設で使用することと規定しています。

次に掲げる医師の要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されている者が該当する施設

ア 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。
イ 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に6年以上の臨床経験を有していること。うち、3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。